コラム

2023年3月24日

最終更新:2023年5月7日

【開催報告】『働き方の哲学』を深める読書会 #01

2023年3月20日に『働き方の哲学』を深める読書会 #01をオンライン開催いたしました。

この読書会は、宮治が所属しているキャリアコンサルタントコミュニティ「キャリコンサロン」の北海道在住者のメンバーによる自己研鑽の場となります。

メンバー内で「じっくり深めたい」という声が上がった『働き方の哲学』を課題本とし、毎月ランダムに3つのテーマについてディスカッションをする形式です。

事前に該当箇所を読み、当日ディスカッションしたいことをまとめる運用にしたことで本を読む深さが変わった気がしています。

まだ1回だけなので変化を確信するまでには至っていませんが、普段よりも集中して読めたことは大きな収穫になりました。

読書会の内容

今月取り上げたテーマは、下記の3つです。

  • 偶発性とキャリア形成(P48~P49)
  • 怠惰な多忙(P94~P95)
  • 孤独(P108~P111)
偶発的キャリア形成

一つ目は、「PART1 仕事・キャリアについて」「12 キャリア⑤偶発性とキャリア形成」の中で「計画された偶発性理論」について取り上げました。

「計画された偶発性理論」とは、簡潔に説明すると「キャリアの8割は偶然の出来事で決まる」という理論です。

偶然の出来事は、人の進路やキャリアに大きな影響を与えます。

そして人生のチャンスは、偶然からも起こり得ます。

だからこそ、偶然の出来事をチャンスに変える行動を日頃から意識すること。

そのために「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「リスクテーキング」を磨きましょう、というのが大筋の解説になります。

比較的前向きな文脈で取り上げられる理論ですが、この読書会では新鮮な切り口で深めることができました。

「計画された偶発性理論」は好きで共感できる理論だが、自分のおかれている環境や状況で受け止め方が変わってくると感じている。モチベーションが低い状態でも「計画された偶発性理論」は共感できるものなのか?

確かにモチベーションが低い時に「5つの力を磨きましょう」と言われても、とてもそんな気持ちにはなれません。

この話題から自己効力感や自己肯定感まで話が広がり、当事者・支援者の両面からの気持ちを考えるきっかけになりました。

その他、こんな問いも出てきました。

「柔軟なしなやかさ」の可動域は何度なのだろうか?

「折れない心」「柳のようなしなやかさ」という表現もよく聞くが、実際のところ何度くらいをイメージしているのかは個人差がありそうです。

45度なのか、90度なのか。

はたまた90度をさらに超えて1周できるくらいの柔軟性を指しているのか。

「しなやか」という言葉は同じでも何度をイメージしているかで話が変わってくるので、言葉の定義は揃えた方がいいなという気づきにも繋がりました。

怠惰な多忙

二つ目は、「PART2 主体性・成長について」「25 怠惰な多忙」の中で「時間管理のマトリクス」について取り上げました。

「時間管理のマトリクス」は、タスクを緊急性と重要性の2つの軸で分類することで、優先度を決定する手法です。

「7つの習慣」で有名なので、馴染みがある人も多いのではないかと思います。

●第1領域:緊急かつ重要である
●第2領域:重要だが緊急ではない
●第3領域:緊急だが重要ではない
●第4領域:緊急でも重要でもない

今回は特に「どうしたら第2領域にシフトできるのか」という点を中心にディスカッションや事例共有をしました。

《内容抜粋》

  • 変化を好まず、慣れ親しんだ仕事・環境をやり続ける人へのアプローチ
  • わざと定型業務を難しくしている場合の対処法
  • 事件が起きるたびに複雑化することへの対処法
  • 第3領域(緊急だけど重要ではない)なのに第1領域だとアピールする人への対処法

この他、第4領域(緊急でも重要でもない)ことは捨てるべきなのかという話題も出ました。

無駄と言われる第4領域ですが、心豊かに生活する上では必要なことなのでは?というところでタイムアップ。

もう少しディスカッションを重ねたい話題でした。

怠惰な多忙

三つ目は、「PART2 主体性・成長について」「30 孤独」の中で「Only is not Lonely」について取り上げました。

「Only is not Lonely」とは、「孤独は孤立を意味しない」という糸井 重里さんの言葉です。

「個として強く立とうとする人こそ孤独を味わう一方、孤独を通して深くつながることができる」という内容から「孤独に耐えるには自立が必要」という話が出てきました。

他己評価に引っ張られるとうまくいかない自覚はあるけれど、気になってしまう。
その大元は自己肯定感にあるのか。
元々日本には自立性を育てる教育環境がないのではないか。
日本は一人はダメ、可哀想というのが根付いているのではないか。

このような問いを元に事例共有も。

宮治からは「HRパーソナル診断」の自立性についても簡単に解説させていただきました。

参加者の声

  • なかなか結論の出る話ではありませんでしたが、キャリコンとしてこういう考え方をどう活用できるか?どう気がついてもらえるといいのか?ということにつなげないとならないと思いました。
  • 一人で読んでいる時はスルーしていたことも読書会で話題になると考えるきっかけになりますね。1時間では足りないくらいでしたが、短期間で集中して話すことで濃い話ができたとも思います。
  • あっという間の1時間でした。お二人の疑問や意見、経験を伺うことで、自分の経験と関連づけられて、考えが深まっていくことを実感しました。

次回の読書会では、下記3つのテーマを取り上げます。

  • キャリアの節目(P60~P61)
  • 自立と自律(P72~P73)
  • リスク(P96~P97)

★キャリコンサロンでは随時新規メンバーを募集しています。ご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。


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2023年3月24日

最終更新:2023年5月7日

宮治 有希乃さんの写真

宮治 有希乃Miyaji, Yukino

組織人事コンサルタント

2007年よりITベンチャー、人材ビジネス業界で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。2018年10月に寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。 現在は、組織人事及びキャリア領域で「組織の人間関係を読み解き、働きがいのある職場環境を整えること」に注力。多角的組織診断を活用した組織活性や採用・定着化、人材育成を中心に活動している。※支援企業:300社以上、対人支援:延べ7,200人以上の実績あり。

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