コラム

2019年2月3日

最終更新:2023年1月12日

【前編】テレワークって実際どうなの?

働き方の選択肢のひとつに「テレワーク」があります。

テレワークとは、文字通り遠隔で仕事をする働き方で「リモートワーク」という表現の方を好んで使っている方もいらっしゃるかもしれません。

また、条件付きかつ限定的な表現ではありますが「在宅ワーク」「在宅勤務」ともほぼ同意語として使われています。

(厳密にはテレワークの手段のひとつが「在宅ワーク」や「在宅勤務」です。)

テレワークはエンジニアやデザイナーに向いている働き方と言われていましたが、現在は秘書やカスタマーサポート、営業、人事、経理、秘書など幅広い職種に広がってきています。

また最近では会社員やフリーランスだけではなく、公務員も在宅勤務を選択できるようになってきていることもあり、特別な働き方というわけではありません。

あくまでも働き方の手段のひとつです。

主な特徴としては、場所に縛られずに仕事ができるため、通勤圏外の会社の仕事ができたり、育児や介護などとの両立がしやすい点があげられます。

雇用型テレワークの場合、勤務時間が決まっていればその範囲内で働く必要があります。

全く時間拘束がないということではなく、完全自由というわけでもありません。

ただ、自分で勤務開始時間や終了時間を調整できるフレックス制が導入されていたりするケースが多く、ある程度の自由度はあります。

また自営型テレワークの場合は、時間も自分で調整するケースがほとんどなので、場所にも時間にも縛られずに働くことができます。

私自身は、2018年9月からHR・キャリア系のテレワーカーとして働いています。

雇用型テレワーカーを短期間経験した後、現在は自営型兼、ノマドテレワーカーです。

テレワークをはじめた理由は、やってみたい仕事がテレワークのスタイルだったから。

そして、テレワークは近い将来あたりまえの働き方になる予感があったので、1度経験してみたいというのも大きな理由です。

最近は、私がテレワーカーとして働いていることが浸透してきたこともあり、お会いする経営者や人事担当の方に「テレワークって実際どうなの?」と聞かれることが増えてきました。

そこで今回は「テレワークって実際どうなの?」と題し、お受けすることが多い質問を私なりのテレワーク経験を踏まえてご紹介いたします。

ボリュームが多くなったので、今回は2つの質問について取り上げます。

残りの3つは「【後編】テレワークって実際どうなの?」をご覧くださいませ。

質問1:サボらせないようにする対策は?

テレワークの心配事として必ず出てくるのは「サボる人が出てくるのではないか」ということです。

「テレワークは目が行き届かないから、サボる人が絶対出てくる」という前提を持っている人が多いことも背景にあるのかもしれません。

その結果「サボらせないようにする対策はありますか?」という質問が圧倒的に多いという状況になっています。

繰り返しになりますが、この質問をする方の多くは「テレワーク=サボる人が出てくる」という前提を持っています。

ただ、実際にテレワークをした私の結論は「テレワークは、サボれない」です。

そして「出社型の働き方であったとしても、サボる人はサボる」です。

このような話をすると「えっ?」と驚かれる方もいらっしゃるのですが、よくよく考えてみると「確かに」と納得していただけます。

時間通りオフィスに出社して、着席してパソコンに向かっていれば「働いている認定」されやすいのが出社型の働き方なのです。

「出社した」という事実があっても、ただボーっとしているだけだったり、他の考え事をしていたり、ネットサーフィンしているだけかもしれません。

本当は30分で終わる仕事を、わざと1時間かけてやっているかもしれません。

具体的な方法は割愛しますが、働いている風にふるまったり、仕事してますアピールもいくらでもできるのです。

また、業務時間中に頻繁にお手洗いに行き長居をしたり、喫煙室に行ったり、コンビニに行く方もいます。

一般的に出社型の場合「出社している時間=拘束時間=働いている時間」という感覚を持つことが多いので、「多少離席をしてもサボっているという印象はあまり持たれない」という不思議な現状も起きやすいです。

そのため、実際集中して働いている時間を計算してみると、実は働いていない時間がトータル1~2時間もあるケースもあります。

私が会社員時代に調査した時は、1日50分しか集中して働いていないという社員もいました。

ただ、お手洗いなどは1日の中で数回必ず行きますし、私はたばこを全く吸わないのでわかりませんが、喫煙室はアイディアを考えるには最適という声もよく聞きます。

そう考えると、サボっているという表現は語弊があるかもしれませんが、少なくとも「出社型で働いていればサボらない」とは言い切れないのです。

では、なぜテレワークになった途端「サボる」ことを心配するのでしょうか。

それは単純に、顔を合わせてその人の存在を確認できないからです。

・出社時刻になって打刻はされているけど、打刻した後に寝てるんじゃないの?

・そもそも本人が自分で打刻したの?

・ゲームしながら適当に仕事してるんじゃないの?

・出かけたり昼寝して仕事してない時間あるんじゃないの?

・実際何やってるかわからないのに、本当に信用していいの?

あげればきりがないほど、不安や心配、疑いがあふれ、「テレワークでは、どのように監視するのが効果的なのか?」と、あらゆる手段で働いている様子を確認することにフォーカスしがちになります。

思い返せば、私がテレワークで働くと決めた時「自由に働けていいね」とか「楽に仕事できるようになるね」という声をかけられることが多かったのですが、この言葉にも「テレワークは、出社型よりも気楽に気ままに働ける」という前提があります。

ただ、実際にテレワークをしてみると、そんな前提は幻だということがすぐにわかりました。

なぜならテレワークで働く場合、出社型以上にアウトプットが非常に重要となるからです。

ひとりで行う仕事もありますが、多くはクライアントやプロジェクトやチームメンバーと連携して仕事を進める場合も多いので、顔が見えない分、進捗報告をマメに行う必要があります。

サボっていたら仕事の進捗は遅れてきますし、連絡が取りづらい状況になると、他の方の仕事が止まってしまうなど、迷惑をかけることになります。

出社型によくある「働いてる風」「頑張っている風」オーラも、テレワークでは通用しないので、進捗報告含めて自分の仕事の結果をしっかりとアウトプットしていくことが重要なのです。

想定されている時間内に期待以上のアウトプットが出すことが基本となりますので、よほどタスク管理がずさんでない限りはサボる時間はありません。

サボっていたら、レスポンスが遅くなったり、アウトプットが期待を下回ることが多くなるのですぐにバレます。

一方で、想定されている時間より早く期待以上のアウトプットを出せた場合は、ゆっくりできる時間ができる場合もあるかもしれません。

そのゆっくりできる時間をサボっているという方もいますが、それはテレワークに限ったことではありません。

出社型でも想定時間よりも早く仕事が終わって、手持ち無沙汰になることはあります。

テレワークだから特別なわけではなく、出社型でも同じようなことが起きていることがほとんどです。

そのため、経営者や人事担当者が何か不安なことが浮かんできた際は「テレワークだから不安なのか?」「出社型なら不安ではないのか?」ということをしっかりと考えていくことが大切です。

ちなみに私がフルタイムのテレワーカーとして働いていた時は、正直全くゆとりがなく、サボるという発想が一瞬も出てこないくらいでした。

テレワークは、働く場所が自由なだけで、出社型と同じように毎日対応するタスクがありますし、移動時間という概念がないので、出社型以上にタスク量は多かったと感じています。

加えてテレワークの場合、自分が集中しやすい環境をつくることができるので、気付いたら2時間、3時間あっという間に経っています。

昼ご飯を食べ忘れていたということもしばしば……汗。

ずっと習慣としていたおやつタイムも全くほしいと思わないほどです。

テレワークの仕組み作りは必要ですが、経営者や人事担当者が心配するほどテレワークはサボれません。

そして何よりも採用した人や仕事を依頼した人のことを信じてほしいと思います。

「この人は絶対サボる」と疑うよう人を採用したりしないですよね?!

だからこそ、サボらせないようにする対策よりも、テレワークを選択した人が、仕事のアウトプットを最大限出せる仕組みづくりや体制づくりに力を入れていくことをオススメしています。

質問2:コミュニケーションが希薄になるのでは?

2つ目に多い質問が、コミュニケーションに関することです。

「テレワークは直接顔を合わせないからコミュニケーションが希薄になって、仕事が円滑に進められないのではないか?」という心配なのですが、結論から言うとテレワークでも十分にコミュニケーションは取れます。

多くの企業がコミュニケーションツールとしてSlackやChatworkなどのチャットを導入していることが多く、チャット上で密なコミュニケーションを取ることができます。

チャットの中にすべての会話が記録されているので、言った言わないの無駄な時間も取られないですし、あとから読み返して理解を深めることもできます。

自分が直接かかわっていない情報もオープンになっていれば参考にすることもしやすいです。

スタンプや絵文字機能もあり、忙しい時でもリアクションがしやすいですし、文字中心のコミュニ―ションでも言葉遣いやリアクションから人柄も伝わってきます。

また、チャットに限らずZoomなどのオンライン会議システムを使えば、画面を通して顔を見ながら会話もできます。

録画もできるのでリアルタイムで参加できなくても後から確認でき、とても便利です。

ただ、チャットやオンライン会議などのオンラインコミュニケーションは、人によって向き不向きはあると感じています。

特にチャットでのテキストコミュニケーションは、文章を書くことが極端に苦手だったり、考えすぎてしまったり、読解力に自信がない方は、消極的になりがちです。

「電話で話したほうが早い」と思うタイプの方も、チャットでのテキストコミュニケーションは面倒だと感じてしまうことが多いので、向いていないかもしれません。

私自身がどうだったかというと、テレワークをする前からチャットには慣れていたこともあり抵抗感は特になかったものの、対面コミュニケーションの方が肌に合っていました。

うまく言葉にしづらいのですが、ずっと対面でセミナー講師や個人セッションをしてきて、人と人との中にうまれる空気感を大切に場づくりをしてきたので、その空気感を感じづらかったのです。

そのため、今はテレワークだけではなく、対面コミュニケーションが取れる仕事も両方しながら、「オンライン×オフライン」で相乗効果を高めることを目指しています。

と言いながらも、やっぱりオンラインコミュニケーションは超便利だと実感することも多いです。

テレワークに限らず、これからもオンラインを活用できる場面ではうまく活用していきたいですね。

また、オンラインコミュニケーションは、仕事だけではなくプライベートでも十分活用できます。

例えば、オンライン飲み会もそのひとつ。

過去にオンライン飲み会にも参加したことがありますが、2時間何の抵抗感もなく楽しめました。

通常の飲み会だと5人以上になってくると、会話の輪が複数に分かれてしまうことが多いと思うのですが、オンライン飲み会だと10人くらいまでであれば人数が増えても一つのテーマで全員が話がしやすかったです。

全国各地の友人と一か所に集まって飲み会をするのはなかなか実現しづらいですが、オンライン飲み会なら日程さえ合えばいつでも開催できるのが魅力ですね。

お子さんが小さかったり、家族との調整で参加が難しい方もいらっしゃると思いますが「オンライン飲み会だから参加できる」という方も出てくるのではないかと思っています。

ということで、テレワークでコミュニケーションが希薄になるかと言えば、向き不向きはあるにせよ、特に問題なくコミュニケーションは取れるとお伝えしたいです。

残り3つの質問は、後編でご紹介!

今回は「サボらせないようにする対策は?」「コミュニケーションが希薄になるのでは?」の2つの質問について、私なりの体験を元に考えていることをまとめてみました。

後編では「セキュリティ面のリスクはないのか?」「運動不足で不健康になるのでは?」「テレワークは絶対導入しないといけないのか?」の3つの質問について取り上げていきますので、こちらもぜひお読みいただけると嬉しいです。

★参考記事::「【後編】テレワークって実際どうなの?」

また、当事務所ではテレワークの導入支援も行っております。

使用ツールの選定からオペレーションの構築、人事制度の整備など、ニーズに合わせて対応可能です。

ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。

※当事務所の組織人事コンサルティングに関する情報は、こちらからご確認ください。


● プロフィール
● サービスメニュー
● お問い合わせ、お申込み


  • Twitterのアイコン
  • Facebookのアイコン

2019年2月3日

最終更新:2023年1月12日

宮治 有希乃さんの写真

宮治 有希乃Miyaji, Yukino

組織人事コンサルタント

2007年よりITベンチャー、人材ビジネス業界で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。2018年10月に寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。 現在は、組織人事及びキャリア領域で「組織の人間関係を読み解き、働きがいのある職場環境を整えること」に注力。多角的組織診断を活用した組織活性や採用・定着化、人材育成を中心に活動している。※支援企業:300社以上、対人支援:延べ7,200人以上の実績あり。

プロフィール詳細

アーカイブ